プロジェクト・マネージャーとコミュニケーション

プロジェクト・マネージャーとコミュニケーション

先週、「プロジェクトマネジメント」の授業をしていました。
PMBOK第5版に基づく、ワークショップ形式の講座です。

ここで、PMBOKによる「プロジェクト・マネジャーの役割」を振り返ってみます。
まず、プロジェクト・マネージャに求められるコンピテンシーとして、
・知識
・執行能力
・人間性
さらに、人間関係のスキルです。
いくつか列挙すると・・・
・リーダーシップ
・コミュニケーション
・コーチング
etc
スーパーマンか・・・と思えるほどの要求です。

さらに最近ではビジネス・アナリシスの知識も要求されています。
日本の「ITコーディネータ」は、この上をいくのでしょうか?

ところで、プロジェクト・マネジャーの主な仕事は何でしょうか?
実は仕事の8割はコミュニケーションと言われています。
皆さんは、こんな経験の1つや2つはありますよね。
何度言ってもわからない
つたわらない
理解してくれない

それでは、コミュニケーションの基本とは何でしょうか。
私のなりの解釈ですが、「ものの見方がすべて」です。
ものの見方は、各人の経験の領域(言語、文化、判断、価値観、感情、性格)に基づきます。
従って、私たちは、これらの要素を総動員してメッセージを暗号化し、解読します。
つまり、両者の円の重なる部分でコミュニケーションがとられることになります。
お互いの経験の領域に重なりがなければ、誤解は避けられないことになります。

なぜ、プロジェクトマネジメントにおいて、「コミュニケーション」を重視しているのでしょうか?
ハイコンテキスト文化とローコンテキストの文化の差と言えかもしれません。
日本は、単一民族国家ですので、「ハイ・コンテキスト文化」。非言語情報量が支配的です。
すなわち、「非言語コミュニケーション文化」圏。
欧米は、複数民族国家ですので、「ロー・コンテキスト文化」。言語情報を重要視します。
ここでいう、コンテキスト(Contex)とは、「メッセージ」の意味です。
コミュニケーションを成立させる共有情報です。

コミュニケーションを視点を変えて、個々人の性格、タイプ別に見ていくことはできないでしょうか。
価値観の違いを理解する。そして、得たいものがそれぞれ異なること認める。
そうすると、見えてくるものがあります。
例えば、同じ仕事を依頼するにしても、この価値観の違いを理解した上で、仕事を依頼をする。
「依頼内容の大筋を伝え、あとは任せた。」「依頼内容を詳細に伝える。」等々、受け手の得たいものに
合わせて伝える内容を変えると、きちんと伝わる。
このタイプ別コミュニケーションの考え方が、DiSCです。

D 主導:直接的で決断が早い
i 感化:楽感的で社交的
S 安定:思いやりがあり、協力的
C 慎重:緻密で性格
さらにこれを、18タイプに細分類します。

ここでは、簡易的に4つのタイプに分けると
コントローラー(主導型) D
プロモーター (直感型) i
サポーター  (温和型) S
アナライザー (分析型) C
になるようです。
このDiSC、コミュニケーションのみならず、仕事の向き不向きをある程度特定することもできるようです。

私のように、話を聞かない、我を通す老体も多々いるようですが、
最も必要とされているコミュニケーションスキルはなんでしょうか。
私は、「日本語」だと感じています。文章を書くことと読むことです。
数年前、私の講義において、「文字が多くて、理解できない!」と言う声を聞いたときに、絶句したことを覚えております。

巷で、コミュニケーションとは、傾聴と質問だと言われております。
私は否定はしません。
しかし、まずは、日本語でしょう。(私は、英語力も日本語力に比例すると理解しています。)
蛇足ですが、質問において意識すべきことは5W1Hです。
文章の基本は、起承転結と5W1Hですよね?

さて、私の日本語力、文章力はいかがでしたか?

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元・国土交通省 航空局勤務。 航空保安無線施設の維持管理、工事監督、設計・積算業務を20年以上担当し、現場リーダーとして数多くのチームマネジメントと人材育成に携わる。 その後、航空保安大学校にて教官として後進育成に従事。プロジェクトマネジメント研修をゼロから立ち上げ、現場視点に立った研修スタイルに定評がある。 現在は、「育てるのが苦手な現場リーダー」の支援をテーマに、人材育成・チームビルディング研修・コーチングを実施中。 「理論だけで終わらせない、“使える育成”がモットーです」