感情をぶつけられても、心が乱れない自分になる

“怒りをぶつけられた”とき、どう受け止めたらいいのか?

職場でも、家庭でも、ある日突然「怒りの矢」が飛んでくることがあります。
びっくりするような言葉、きつい口調、時には理不尽な言いがかりのようなものもあるかもしれません。

そんなとき、あなたはどうしていますか?

・「何か悪いことしたのかな?」と自分を責める
・「そんな言い方しなくても!」と反発したくなる
・「またか…」と黙って我慢してしまう

どれもよくある反応ですし、私自身もそうしてきたことがあります。
でも実は、相手の怒りを「そのまま受け取らない」ことが、自分を守るうえでとても大切なのです。


怒りの奥には、必ず「別の感情」がある

まず最初に、知っておきたいことがあります。

それは――
怒りは「二次感情」だということ。

つまり、怒りの奥には本当は違う感情が隠れているのです。

たとえば:

  • 不安だった
  • 寂しかった
  • 認めてほしかった
  • 悲しかった
  • わかってもらえなかった

それがうまく言葉にならなかったとき、「怒り」という強い感情にすり替わって、相手から飛んでくるのです。

これは、大人でも、子どもでも、立場のある人でも同じ。
言葉で伝える力よりも、感情が先に出てしまう瞬間――私たちは誰でもそんなときがあるのです。


怒りをぶつけられたときの“心の持ち方”

では、相手の怒りにどう向き合えばいいのでしょうか?

ポイントは、「受け止める」と「受け入れる」を分けること

  • 受け止める:相手の状態や感情を「そう感じているんだな」と一歩引いて観察すること
  • 受け入れる:自分が悪いとすべてを飲み込んでしまうこと

怒りをぶつけられると、つい「受け入れて」しまいがちですが、それでは自分がすり減ってしまいます。

だからこそ、
「この人、今ちょっと感情が溢れてるんだな」
「何か別のことに困っているのかもしれない」
と、一歩引いて“受け止める”意識を持つことで、自分の心を守ることができます。


相手の怒りに巻き込まれないためにできること

では、実際にできる行動としてはどんなものがあるでしょうか?

1. その場で反応しない

怒りの熱に巻き込まれると、こちらも感情的になってしまいます。まずは一呼吸。何も言わないという選択も、立派な対処法です。

2. 「私は今、責められている」と思わない

相手の怒りは、あなたに向かっているようで、実は「自分自身の感情」に向かっていることが多いのです。

3. “境界線”を意識する

相手の問題と自分の問題を切り分ける。これは練習が必要ですが、とても有効です。「私は冷静でいる」と心の中で繰り返すだけでも変わります。


最後に:怒りに込められた“声”に気づくとき

誰かの怒りを目の当たりにすると、自分の感情もざわざわしますよね。
でも、その怒りの奥にある「言葉にならなかった声」に少しでも耳を傾けてみると、違う景色が見えるかもしれません。

もちろん、何でも受け止めなければいけないわけではありません。
「これは受け止めきれない」と感じたときは、そっと距離をとっていいのです。
それも、あなたがあなたを守る大切な選択です。


あなたの心が、無理なく、穏やかでいられますように。

次回は、「感情的な相手と冷静に話すにはどうしたらいいのか?」についてお届けします。

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元・国土交通省 航空局勤務。 航空保安無線施設の維持管理、工事監督、設計・積算業務を20年以上担当し、現場リーダーとして数多くのチームマネジメントと人材育成に携わる。 その後、航空保安大学校にて教官として後進育成に従事。プロジェクトマネジメント研修をゼロから立ち上げ、現場視点に立った研修スタイルに定評がある。 現在は、「育てるのが苦手な現場リーダー」の支援をテーマに、人材育成・チームビルディング研修・コーチングを実施中。 「理論だけで終わらせない、“使える育成”がモットーです」