感情をぶつけられたときの“境界線”の引き方

感情をぶつけられたとき、落ち着いて対応するための“余裕のつくり方”

突然、誰かの怒りの矛先が自分に向けられたら。
心がざわついたり、つい言い返したくなったりするのは、ごく自然な反応です。
特にリーダーという立場では、感情的な場面に巻き込まれやすく、どう受け止めたらいいのか戸惑うこともあります。

では、どうしたら「感情に巻き込まれず、でも無視もしない」というバランスを保てるのでしょうか?
今日は、怒りをぶつけられたときの“余裕のつくり方”をお伝えします。


1. 怒りは「感情」ではなく「反応」として見る

怒りをぶつけられたときにまず意識したいのは、
「この人は“怒りたい”のではなく、何かが“うまくいっていない”のかもしれない」
と、一歩引いて眺める視点を持つことです。

怒りは、実は「第一感情」ではありません。
その奥にあるのは、たとえば:

  • 分かってもらえない寂しさ
  • 認めてもらえない悲しさ
  • 無力感、焦り、不安

そんな「本当の気持ち」が隠れていることが多いのです。
相手の怒りを“攻撃”ではなく、“サイン”として捉え直すことで、自分の心に少し余裕が生まれます。


2. 自分の安全を守る「境界線」を意識する

とはいえ、感情をそのままぶつけられて傷つくこともあるでしょう。
そんなときは、**「この人の怒りは、私という人間そのものを否定しているのではない」**と、自分の心を守る境界線を引きましょう。

相手の言葉をすべて真に受けない。
怒りに飲み込まれず、冷静さを保つための“心理的距離”を保つことが大切です。


3. すぐに反応しない“間”の力

怒りの言葉を受けた瞬間、反射的に反論したくなることもあるかもしれません。
でも、そこであえて「間」をとることが、自分を守り、関係性を崩さないコツです。

  • 深く深呼吸する
  • 「今は受け止める」ことに集中する
  • 「その気持ち、少し時間をもらって考えさせてください」と伝える

この「間」は、冷静な判断を下す余裕をつくってくれます。


4. 怒りの奥にある“ニーズ”に目を向ける

「なぜそんな言い方をするの?」と感じたとき、
心の中でこう問いかけてみてください。

「この人は、何を伝えたかったんだろう?」

怒りの奥には、「助けて」「分かってほしい」「認めてほしい」などのニーズが潜んでいます。
それに気づけると、あなたの対応も少し変わってくるかもしれません。


5. 自分の感情も、ちゃんと大切にする

そして忘れてはいけないのが、あなた自身の感情も大切にしてよいということ。
「怒られた自分が悪いのかも」と抱え込まないでください。
辛かった、悲しかった、怖かった——
そう感じた自分に、やさしく寄り添ってあげましょう。


怒りを受け止めるのではなく、“受け流す”という選択肢も

怒りを正面から受け止めなければいけない、と思う必要はありません。
大切なのは、あなた自身の心を守りながら、相手の本音に耳を傾ける余裕を育てていくこと。

それができるようになると、あなたのリーダーシップは、
よりしなやかに、より信頼されるものになっていきます。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回は、「怒りに巻き込まれずに、必要なことを伝える」
——つまり、「怒らずに伝えるコミュニケーション術」についてお届けします。

どうぞお楽しみに。

あなたの“自分らしさを大切にするリーダーシップ”を応援しています。

The following two tabs change content below.
元・国土交通省 航空局勤務。 航空保安無線施設の維持管理、工事監督、設計・積算業務を20年以上担当し、現場リーダーとして数多くのチームマネジメントと人材育成に携わる。 その後、航空保安大学校にて教官として後進育成に従事。プロジェクトマネジメント研修をゼロから立ち上げ、現場視点に立った研修スタイルに定評がある。 現在は、「育てるのが苦手な現場リーダー」の支援をテーマに、人材育成・チームビルディング研修・コーチングを実施中。 「理論だけで終わらせない、“使える育成”がモットーです」