「ただ聞いてほしい」──その声に応えるために

「ただ聞いてほしい」

そんなふうに思ったこと、誰しも一度はあるんじゃないでしょうか。
今回は、“聴く”ことの大切さについて、ちょっとだけ綴ります。


一緒にいて楽しい人になりたい

ふと、こんなことを思いました。

一緒にいて楽しい人と出会いたい。
いや、そもそも自分がそんな人になりたい。
良い人間関係を築いていきたい。

あなたはどうでしょうか?

私はというと……正直、あまり意識してこなかった気がします。
そのせいか、誤解されることが何度もありました。
「誤解が六回」なんて冗談を言ってる場合じゃない(笑)

敵も多かったけど、味方も多かった。
そんな中で気づいたのは、「ものの言い方」に問題があった、ということ。


話すよりも、まずは「聴く」ことから

今回のテーマは、「話すこと」ではなく「聴くこと」。

人の話を“ちゃんと”聴くって、意外と難しいものです。
ついアドバイスしたり、意見を挟んだり、解決しようとしたり……。

でも、本当に求められているのは、
もっとシンプルなことかもしれません。


「聞いてくれるだけでいい」──ある詩より

以下の詩は、作者不詳ですが、私の心に強く残ったものです。
長めですが、ぜひ読んでみてください。


話を聞いてくれと言うと、
あなたは忠告をはじめる。
私はそんなことを望んではいない。

話を聞いてくれと言うと、
「そんなふうに考えるもんじゃないよ」とあなたは言う。
それが、私の心を踏みにじる。

話を聞いてくれと言うと、
私の代わりに問題を解決しようとする。
でも、私がほしいのは、それじゃない。

聞いてください。
ただ、それだけなんです。
何も言わなくていい。何もしてくれなくていい。
ただ、話を聞いてくれるだけでいい。

忠告なら安いもの。
新聞を買えば、有名人がいくらでも答えてくれる。

少し弱気で、ちょっと迷ってるけど、
そのくらい、自分でなんとかする。

だから、私の話を、聞いてください。

そして、もしあなたも話したいなら、
自分の番が来るまで、ちょっとだけ待ってて。
私も、あなたの話をちゃんと聞くから。


初めて読んだとき、「ああ、自分もやっちゃってるな…」と反省しました。
人って、話すことで整理したり、安心したりしたいだけのときがあるんですよね。

つまり、聴くことには、力があるということです。


聴き上手になる3つのコツ

では、どうしたら「ちゃんと聴ける人」になれるのでしょうか。

私が大切だと思うのは、次の3つです。


① 相手を尊敬すること

「この人の話には価値がある」と思って聴くと、自然と態度にも出ます。

② 同意すること(=気持ちに寄り添う)

全部に賛成する必要はありません。「そう感じたんだね」と、気持ちを受け止める。

③ 感謝すること

「話してくれてありがとう」と、心の中で思うだけで、表情も変わってきます。


この3つを意識して聴くと、相手との距離がぐっと近づいていきます。
まさに「一緒にいて心地いい人」への第一歩です。


ちなみに男女では“聴き方”のニーズが違うことも

これはよく言われる話ですが、知っておくと便利なので紹介します。

  • 女性が求めているのは「理解と共感」
  • 男性が求めているのは「理解と情報(解決策)」

もちろん個人差はありますが、
この違いを意識しておくだけで、
「どうしてそんな反応なの?」というすれ違いを減らせることもあります。


聴くことで、関係が変わる

「一緒にいて楽しい人」って、
必ずしもおしゃべり上手な人ではないと思います。

ちゃんと聴いてくれる人。
それだけで、相手の安心感はぐっと高まります。

誰かの「ただ聞いてほしい」という心の声に、どう応えるか。
それは、人間関係を育てる、いちばんシンプルで、いちばん深いやりとり。

今日、あなたは誰の声に耳を傾けますか?

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元・国土交通省 航空局勤務。 航空保安無線施設の維持管理、工事監督、設計・積算業務を20年以上担当し、現場リーダーとして数多くのチームマネジメントと人材育成に携わる。 その後、航空保安大学校にて教官として後進育成に従事。プロジェクトマネジメント研修をゼロから立ち上げ、現場視点に立った研修スタイルに定評がある。 現在は、「育てるのが苦手な現場リーダー」の支援をテーマに、人材育成・チームビルディング研修・コーチングを実施中。 「理論だけで終わらせない、“使える育成”がモットーです」