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怒らずに伝えるコミュニケーション術

~感情的にならずに、想いを届けるために~

前回、「怒りに振り回されない自分になる方法」として、自分の内側の感情に気づき、逃がす方法をお伝えしました。

でも、実際の人間関係の中では――
どうしても「伝えたいこと」がある。
けれど「感情をぶつけたくはない」。
そんな葛藤があるのではないでしょうか。

今日は、怒らずに自分の気持ちを伝えるための“コミュニケーション術”について、お話しします。


1.「怒りの奥」にある本当の気持ちを言葉にする

怒りは、二次感情と言われます。
つまり、本当の気持ちの“上に乗っている”感情なのです。

たとえば――

  • 怒っているけど、実は悲しかった
  • 怒ってしまったけど、本当は不安だった
  • 怒鳴ってしまったけど、わかってほしかった

こうした一次感情を伝えることで、相手の受け取り方は驚くほど変わります。

怒り:「なんでちゃんとやってないの?」
⇨ 一次感情:「すごく心配だったんだ。あなたに失敗してほしくなくて」

怒り:「何度言ったらわかるの!」
⇨ 一次感情:「伝え方が悪かったかもしれないけど、本当に助けてほしかった」

怒りが出そうになったら、いったん自分に問いかけてみてください。
「この怒りの奥には、どんな気持ちがあるんだろう?」


2.「あなたは〜」ではなく、「私は〜」で伝える

コミュニケーションにおいて、「あなたは〜」という言い方は、防衛反応を招きやすいと言われています。

たとえば――

  • 「あなたが悪い」
  • 「どうしていつもそうなの」
  • 「また遅れたよね」

このような言葉は、相手の言い分を引き出す前にシャッターを下ろさせてしまいます。

そこでおすすめなのが、「Iメッセージ」です。

  • 「私は、こう思った」
  • 「私は、こう感じた」
  • 「私は、こうしてほしかった」

主語を“自分”にすることで、相手を責めるのではなく、自分の思いを伝えることができます。

たとえば――

  • 「また遅刻?」⇨「時間どおりに来てもらえると、私は安心できるな」
  • 「なんで報告しないの?」⇨「報告してもらえると、私は助かるよ」

伝え方ひとつで、“対立”から“対話”に変えることができるのです。


3.「間をとる」勇気を持つ

感情が高ぶっているときに、冷静に言葉を選ぶのは難しいもの。
そんなときは、“いったん話さない”という選択肢を持つことも大切です。

・その場ではあえて黙る
・一晩置いてから伝える
・紙に書いて気持ちを整理する

怒らずに伝えるためには、「今すぐ伝えること」より「どう伝えるか」を大切にすることがポイントです。


感情をぶつけなくても、気持ちは伝えられる

怒ることが悪いのではありません。
でも、怒りに任せて話すことで、伝えたい「本当の気持ち」が届かなくなってしまうのは、もったいないことです。

  • 本当は、理解してほしかっただけ
  • 本当は、頼りたかっただけ
  • 本当は、大事に思っているからこそ

そんな気持ちが、相手に届くコミュニケーションを、
これから少しずつ育てていきませんか。


次回予告:

次回は、「“怒りをぶつけられた”とき、どう受け止めたらいいのか?」をテーマにお届けします。

怒りを受け取る側として、どう心を守り、どう関わっていけばいいのか――
一緒に考えていきましょう。


「人は幸せになるために生まれてきました」
あなたも、私も、怒りを超えて、幸せになっていいのです!

若い頃の失敗が教えてくれた、信頼される人の共通点

人がお互いを好きと感じるとき、よりよい人間関係を築くコツ

「腹を空かせた犬にえさをやれば、その犬は決してかみついたりしない。これが、人間と犬の最も大きな違いだ。」
― マーク・トウェイン

「押したり引いたり、せっついたりしても、人は決して動かない。
だが、相手の得になるようなもっともな理屈を与えれば、彼らは従順に従うものだ。
人は“自分の理屈”で動く。あなたの理屈ではない。そして、その理屈は常に“感情的なもの”だ。」
―『豊かな人間関係を築く47のステップ』P.35より

「押してもダメなら引いてみな」では、人は動かないようですね。
どうやら、“感情に訴える”ことが有効なようです。

そもそも、人は何かを必要としている、あるいは期待しているからこそ、誰かと関係を結ぼうとします。
ということは――

「この人は、何を必要としているのだろう?」
と、先回りして考えることが、人間関係の第一歩かもしれません。

あるいは、

「人はなぜ行動するのか?」
「この人が私と関わり続けたいと思うとしたら、私は何をすればいいのか?」

と問いかけてみるのです。

難しく考える必要はありません。
ちょっと言葉は悪いですが、これはいわば**「人たらしの論理」**とも言えるでしょう。

歴史で言えば、人たらしの名人として有名なのは豊臣秀吉
現代で言えば、田中角栄さんなどがその代表でしょう。
(今回はこのお話には踏み込みませんが…!)

さて、昨日のセミナー「好感度アップのコミュニケーション術」でお話した内容とも重なるのですが――

「人がお互いを好きになるとき」って、どんなときでしょう?

それは、「似ている」と感じたときなのです。

「似たもの同士」という言葉がありますよね。
あれは、ただの偶然ではありません。

人は、「この人、なんか似てるな」「価値観が合いそう」と感じたときに、心の距離がぐっと縮まります。
一緒にいて楽しいと感じるのです。

コーチングの世界では、信頼関係を築くために、ミラーリングペーシングという技法を使います。
相手のしぐさや呼吸、話し方に合わせていく方法です。

つまり、

「一緒にいて心地よい人」になること。
そのために、まずは相手の世界に合わせる努力をする。

これが、よりよい人間関係を築く基本です。

そしてもう一つ大切なのは――

「相手が何を求めているのか」を理解しようとする姿勢。


こんなふうに書いている私も、正直なところ、若い頃はまったくできていませんでしたし、今でも時々うまくいかないことがあります。

でも、「意識する」だけでも、少しずつ変わっていくものです。
毎日ほんの少し意識していくことで、自然と身についていくのだと思います。