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「仕返し」のかたち──やさしさで返す勇気を持てたら

「仕返し」のかたち──やさしさで返す勇気を持てたら

今日はいつもの“コミュニケーションのコツ”とは少し離れて、
心があたたかくなる「仕返し」のお話を、ひとつご紹介します。


自分の人生を振り返れば、
愛の精神で何かをしたときこそ、本当に生きていると言えるのだ。

─ ヘンリー・ドラモンド(スコットランドの宗教思想家)


ゴミか、思いやりか──分断の時代に生まれたエピソード

この話は、『豊かな人間関係を築く47のステップ』(グレン・ヴァン・エカレン著)からの一節です。

時は、東西ドイツを隔てていた「ベルリンの壁」の時代。
ある日、東ベルリンの人々が、隣接する西ベルリンに“贈り物”を送ろうと考えました。

しかし──彼らが送ったのは、ダンプカーいっぱいのゴミ。
壊れたレンガや廃材、不要なガラクタが詰め込まれ、それが壁の向こう、西ベルリンに投げ込まれたのです。

挑発とも取れる行動に、当然、西ベルリンの人々は憤慨しました。
さて、あなたならどうしますか?
怒りをそのまま返す? 同じようにゴミで応戦する?


西ベルリンが選んだ「仕返し」

西ベルリンの人々は、その“仕返し”として──

東ベルリンで不足していた生活物資を、今度はダンプカーいっぱいに積み込みました。
食料品や衣服、医薬品など、現地で本当に必要とされるものを届けたのです。

そして、積み荷の上には、たった一言、こう記されたメモが添えられていました。

「人は、自分の持てるものを与える」


この言葉に、私はハッとさせられました。
仕返しとは、ただ感情をぶつけ返すことではない。
“与える”という行動の中に、その人の在り方や心がにじみ出るのだと。


「仕返し」に、やさしさを込められたら

聖書の中にも、こんな言葉があります。

「だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。」
─ マタイによる福音書 5章39節(新共同訳)

これは、単なる受け身ではありません。
「悪意に対して、悪意で返さない勇気」
「感情の連鎖を断ち切る強さ」
そんな深い意味が込められていると、私は思っています。

悪意に悪意で返せば、憎しみは憎しみを呼び、やがては取り返しのつかないところへ向かってしまう。
そんな現実を、今の世界情勢を見ていても、痛感することが多くなりました。


祖先の教えと、現代の私たち

“因果応報”──
良い行いには良い結果が、悪い行いには悪い結果が返ってくる。
私が育った家庭でも、祖母がよくこう言っていました。

「先祖の悪行が子孫に祟る。だから、現世で功徳を積まなきゃいけないんだよ。」

言い方は少し怖いけれど、「人に優しくしなさい」「まっすぐに生きなさい」という教えだったのだと思います。


あっと驚く、笑顔になれる「仕返し」を

怒りをぶつけ返すのではなく、
あっと驚かせるような、

そして思わず笑顔がこぼれるような「仕返し」ができたら──

きっとその先にあるのは、憎しみではなく、あたたかい信頼や対話。

私もそんな「仕返し」を選べる人でありたい。
そう、心にあらためて誓った朝でした。


最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
この物語が、あなたの心のどこかに、小さな種を残せたなら嬉しいです。

そしてもし、あなたも「言葉で人を傷つけずに伝える力を身につけたい」と思っているなら──


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