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プロジェクトマネジャーの役割を考える

はじめに
PMBOK第5版が世に出て2年半あまりが過ぎました。
そして、「世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント(第4版)」
が2015年4月に出版されました。

この本は入門書として最適ですので、前職で、3日間の講
「プロジェクトマネジメント基礎」において、
サブテキストとして使用していました。

プロジェクトマネジメントの威力もすっかり浸透し、
プロジェクトを成功に導いたり、プロジェクトを立て直した
PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
のお話も目にするようになりました。

反面、私の担当したプロジェクトで期限内に終わったプロジェクトはあったのか、
と今更ながらに振り返っています。

実証済みの定型的な技法を活用することの重要性も認識されています。
そこで、私なりに、あらためてプロジェクトマネジャーの役割を考えてみます。

プロジェクトマネジェーの仕事の8割がコミュニケーション、聴くこと(傾聴)と
語られています(コミュニケーションとは聴くことがすべてではないのですが)。
PMBOK第5版では、プロジェクトマネジャーのスキルとして
コーチングも求められています。

では、聴いてどうするのでしょうか?
ステークホルダーやチームメンバーから
何かを引き出すのでことが重要ではないでしょうか?

ビジネスアナリシスにおいては、「要求の引き出しのテクニック」
も重要視されています。

プロジェクトを上流工程の段階から円滑に進めるためには、
ビジネスアナリシスとプロジェクトマネジメントの
2つが車の両輪として機能する必要があります。

そうはいっても、まだまだプロジェクト・マネジャーが
ビジネスアナリストの役割を兼ねているのが実情です。

では、プロジェクトを成功に導くために
プロジェクトマネジャーは何をする必要があるのでしょう?
ここでは、3つに絞って考えてみます。

1.計画して実行すること
スコープ、スケジュール、予算、リスク等の検討、そして実行とコントロール。
当然のことながら、コミュニケーションも重要です。

2.プロジェクトの終着点に焦点を当てる
WBS、ワークパッケージ1つ1つに同じように重きを置くことなく、
最終成果物に焦点を当てることです。最終目標が明確であると、プロジェクトが困難な
時期にあっても、プロジェクトを指揮し、成功へ導くことができます。
(これは、コーチングのスキルそのものとも言えるものです。)

3.マネジャーとリーダーの2つの役割を演じる
マネジャーとしては、チームメンバーから信頼を得ること。
プロジェクトマネジメント技法を上手に活用できることはもちろんのこと、
さらに専門知識があることです。

ここでも、コーチングのスキルがポイントとなりそうです。
リーダーとして決断し、責任を引き受ける。

ここで、質問なのですが・・・
自分が専門知識に精通していると、チームメンバーの仕事に口出ししたくなる。
未経験の仕事に関しては、チームメンバーには任せられないので、自分が関与すべき
である。

あなたの答えは、いかがでしょうか。
プロジェクトリーダーがこの2つに当てはまる(両方ともイエス)と・・・。
とにかく、プロジェクト・メンバーは右往左往することになります。

私は、これで相当苦労させられました。

プロジェクトマネジャーはスーパーマンか、とよく思います。
自分に足りないものは、誰かできる人に任せればよろしい。
任すところは任す姿勢が大事です。

それだけのことなのですが。プロジェクトマネジャーも人間ですのでなかなかそうはいかないようです。

これは、普通に、現場の管理職にも当てはまります。
プロジェクト・チームを率いることも、〇〇課を掌握することも基本は同じです。
違うとすれば、権限の範囲とプロジェクト・マネジャーには期限あることでしょうか。

参考:世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント(第4版)
(みちのくIT経営支援センター)のブログに投稿した記事を加筆訂正しました

PMBOK第5版をマインドマップで描きました。
興味のある方はこちらからご覧ください ⇒ 「PMBOKをマインドマップで描く」

プロジェクト・マネージャーとコミュニケーション

プロジェクト・マネージャーとコミュニケーション

先週、「プロジェクトマネジメント」の授業をしていました。
PMBOK第5版に基づく、ワークショップ形式の講座です。

ここで、PMBOKによる「プロジェクト・マネジャーの役割」を振り返ってみます。
まず、プロジェクト・マネージャに求められるコンピテンシーとして、
・知識
・執行能力
・人間性
さらに、人間関係のスキルです。
いくつか列挙すると・・・
・リーダーシップ
・コミュニケーション
・コーチング
etc
スーパーマンか・・・と思えるほどの要求です。

さらに最近ではビジネス・アナリシスの知識も要求されています。
日本の「ITコーディネータ」は、この上をいくのでしょうか?

ところで、プロジェクト・マネジャーの主な仕事は何でしょうか?
実は仕事の8割はコミュニケーションと言われています。
皆さんは、こんな経験の1つや2つはありますよね。
何度言ってもわからない
つたわらない
理解してくれない

それでは、コミュニケーションの基本とは何でしょうか。
私のなりの解釈ですが、「ものの見方がすべて」です。
ものの見方は、各人の経験の領域(言語、文化、判断、価値観、感情、性格)に基づきます。
従って、私たちは、これらの要素を総動員してメッセージを暗号化し、解読します。
つまり、両者の円の重なる部分でコミュニケーションがとられることになります。
お互いの経験の領域に重なりがなければ、誤解は避けられないことになります。

なぜ、プロジェクトマネジメントにおいて、「コミュニケーション」を重視しているのでしょうか?
ハイコンテキスト文化とローコンテキストの文化の差と言えかもしれません。
日本は、単一民族国家ですので、「ハイ・コンテキスト文化」。非言語情報量が支配的です。
すなわち、「非言語コミュニケーション文化」圏。
欧米は、複数民族国家ですので、「ロー・コンテキスト文化」。言語情報を重要視します。
ここでいう、コンテキスト(Contex)とは、「メッセージ」の意味です。
コミュニケーションを成立させる共有情報です。

コミュニケーションを視点を変えて、個々人の性格、タイプ別に見ていくことはできないでしょうか。
価値観の違いを理解する。そして、得たいものがそれぞれ異なること認める。
そうすると、見えてくるものがあります。
例えば、同じ仕事を依頼するにしても、この価値観の違いを理解した上で、仕事を依頼をする。
「依頼内容の大筋を伝え、あとは任せた。」「依頼内容を詳細に伝える。」等々、受け手の得たいものに
合わせて伝える内容を変えると、きちんと伝わる。
このタイプ別コミュニケーションの考え方が、DiSCです。

D 主導:直接的で決断が早い
i 感化:楽感的で社交的
S 安定:思いやりがあり、協力的
C 慎重:緻密で性格
さらにこれを、18タイプに細分類します。

ここでは、簡易的に4つのタイプに分けると
コントローラー(主導型) D
プロモーター (直感型) i
サポーター  (温和型) S
アナライザー (分析型) C
になるようです。
このDiSC、コミュニケーションのみならず、仕事の向き不向きをある程度特定することもできるようです。

私のように、話を聞かない、我を通す老体も多々いるようですが、
最も必要とされているコミュニケーションスキルはなんでしょうか。
私は、「日本語」だと感じています。文章を書くことと読むことです。
数年前、私の講義において、「文字が多くて、理解できない!」と言う声を聞いたときに、絶句したことを覚えております。

巷で、コミュニケーションとは、傾聴と質問だと言われております。
私は否定はしません。
しかし、まずは、日本語でしょう。(私は、英語力も日本語力に比例すると理解しています。)
蛇足ですが、質問において意識すべきことは5W1Hです。
文章の基本は、起承転結と5W1Hですよね?

さて、私の日本語力、文章力はいかがでしたか?