自立しつつ、いっしょにいる

ともに生きること

火を勢いよく燃やすためには、二本の薪を、お互いの火が届く程度に近づけ、酸素がよく行き渡る程度に離さなければならない。
よい火とよい結婚、どちらも同じ法則だ。
――マーニー・リード・クローウエル

「自立」という言葉を辞書で引くと、
他への従属から離れて独り立ちすること。
他からの支配や助力を受けずに存在すること。
そう書かれていました。

以前の私は、
離れて暮らすことで見えてくるものがある、と書いていました。

けれど今は、少し状況が違います。

二年前、妻が亡くなりました。

いま私は、ひとりで暮らしています。

離れている、のではなく、
ともに過ごす時間が物理的にはなくなりました。

それでも不思議なことに、
「ともに生きる」という感覚が、完全に消えたわけではありません。

人間関係の専門家は、健全な結婚生活には自立とバランスが欠かせないと言います。
お互いに自立し、なおかつ依存し合うことを楽しむこと。

当時はその言葉を、どこか外側から読んでいました。

いまは少し、違う場所から読んでいます。

自立とは、
誰かがいなくなることではない。

自分にとって大切な感情や価値観を、
自分の中で持ち続けること。

悲しみを否定せず、
寂しさを急いで埋めず、
それでも自分の価値観で日々を選び直していく。

それが、いまの私にとっての自立です。

学ぶことも大切でしょう。
教養講座に通うことも、否定はしません。

けれどその前に、
いま目の前にある記憶や感情と、どう向き合うか。

相手のよいところを探す。
それは、もう隣にいない相手に対してもできることでした。

思い出すたびに、
「ああ、ここが好きだった」と気づく。

良いところを数えることは、
失った後でも、心を少し温めます。

そして自分のよいところは、
きっと相手が一番知っていたのだと思います。

私の師は、こう言います。
人生はゲームである。
相手がどう反応するかではなく、自分がどう反応するかが大切だ。

いまは、相手の反応はありません。

だからこそ、
私はどう生きるのか。
何を大切にするのか。

それを自分に問い続けることが、
ともに生きる、ということなのかもしれません。

自立とは、
ひとりになることではなく、
価値観を持って歩き続けること。

あなたにとって、
「ともに生きる」とは、どんな形でしょうか。

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元・国土交通省 航空局勤務。 航空保安無線施設の維持管理、工事監督、設計・積算業務を20年以上担当し、現場リーダーとして数多くのチームマネジメントと人材育成に携わる。 その後、航空保安大学校にて教官として後進育成に従事。プロジェクトマネジメント研修をゼロから立ち上げ、現場視点に立った研修スタイルに定評がある。 現在は、「育てるのが苦手な現場リーダー」の支援をテーマに、人材育成・チームビルディング研修・コーチングを実施中。 「理論だけで終わらせない、“使える育成”がモットーです」