その言葉は、誰のため

最悪の人の中にも、いいところはたくさんあり、
誰よりも素晴らしい人の中にも、悪いところはある。
他人についてとやかく言わないのは、私たちの義務だ。

ロバート・ルイス・スティーヴンソンの言葉です。

『豊かな人間関係を築く47のステップ』(グレン・ヴァン・エカレン)に紹介されていました。

ゴシップほど、後味の悪いものはない。
たいていは大騒ぎになり、ときに喧嘩にまで発展する。

賢王ソロモンはこう言ったそうです。
「噂好きの人の言葉は、口当たりの良い食べ物のようなものだ。それは身体の奥深くまで入り込む。」

ほんの一口のつもりでも、
その言葉は、噂をした人にも、された人にも、静かに残ります。

人はなぜ噂を流すのでしょう。
自分がよく見えるからでしょうか。
仲間から一目置かれると思うからでしょうか。

そう考えながら、ふと自分を振り返ってみます。

私は、一度も噂を流したことがなかったでしょうか。

「○○さんから聞いたのだけれど……」
「ああ、その話ね。どこかで聞いたことがあるような……」

そんなやりとりが、まったくなかったとは言い切れません。

表面では大人として普通に付き合います。
しかし裏では、誰かの評価が静かに流れます。

昔、働いていた頃の話です。

当時の私は、よほど嫌われているのですね、と
ただそう思うだけで、腹も立ちませんでした。

腹を立てる余裕がなかった、というほうが近いかもしれません。

だからといって、人格者だったわけでもありません。

グレン・ヴァン・エカレンは続けます。

誰かについて心ないことを言いそうになったとき、
本当かどうかわからない話を広めたくなったとき、
自分に問いかけてみることだ。

この話は、聞く人のためになるだろうか。
自分のためになるだろうか。

そうありたい、と思います。

正しさを振りかざすのではなく、
まず自分に問いを向けられる人でありたいものです。

噂を止める力は、
他人を変えることではなく、
自分に向ける一つの問いから始まるのかもしれません。

____________________
私は、ひとつの実験を始めています。
文章を整えるAIではなく、
自分の思いを、自分の言葉に戻す(「紡」という)AIです。
正解は出しません。
締めくくりません。
思想を完成させません。
ただ、問いを残します。
必要な人がいれば、森に来てください。